恋の歌。
姫香。作
第一章「音符」
出会い
今日は、中学1年生のの林間学校。
私 佐藤 莉奈は、まだ薄暗い空を見上げ、親友の要町 紗希を私の家の前で待っていた。辺りには冷たい雨が降り、少し寒くなったので、私は沙希の家の方へ歩き始めた。
すると、大きく手を振り 私の方へ走ってくる紗希の姿が見えた。
「紗希っ、もう遅いよ〜」
私は立ち止まり、頬を膨らませて言った。
「っごめん!寝坊した」
紗希は、息を切らしながら 私に謝ってきた。
彼女とは、小学校4年生のときからの付き合いで、2本結びが印象に残る元気な感じの女の子。
「寝坊!?信じられないー」
紗希の頬を軽く抓り、私は笑って彼女の手をとった。そして、中学校まで2人で走った。
学校に着くと、すでにバスが2台 到着していて、私たちは1号車に乗った。私と紗希は、隣の席で、私が窓側の方に座った。
しばらくして、男子たちが入ってきたので 横を見ると、目が大きくて可愛い男の子が座っていた。私がその男の子を見ていると、紗希がその子と話し始めた。2人の話を聞いていると、その子は『鏡 賢人』と、いう名前で、賢人君の隣の席に座っている、大人しい感じの子と付き合っているらしい。そして、気が付けば私の胸は”ズキ,ズキッ”と、痛み始め、1粒の涙がこぼれ落ちた。
「おい、要町っ佐藤さん泣いてるっ」
賢人君は、心配しながら私を指差した。
「え!?莉奈、どうしたのっ大丈夫?」
すごくビックリした顔で沙希は私を見て、優しく抱きしめてくれた。私は自分でも、どうして泣いているのか 分からなかった。
その後は、時間があっという間に過ぎ、次の日の朝、帰りのバスに乗り込んだ。
バスの入り口を見ていると、賢人君が乗ってきて、私たちの席で止まった。
「要町〜俺 眠いんだけど、真奈美の隣の席だと恥ずかしいじゃん。だから、席 交換してくんね?」
賢人君は自分の顔の前で手を合わせて、紗希に頼んでいる。
『真奈美』とは、昨日 2人が話していた、賢人君の彼女のことだろう。私の胸は、また”ズキズキ”し始めた。
「あっ、良いよ〜莉奈も眠いって言ってるし。2人で寝てろ」
紗希は笑いながらそう言って、賢人君と席を交換した。
賢人君が席に座ると、私の膝を突付き『昨日は、どうした?』と、心配そうな顔をして聞いてきた。
「…賢人君にも、心配かけてごめんね」
私の声は震えていた。
「俺じゃ力になれないかもしれないけど、泣きたいときは、我慢しないで泣けよ」
賢人君は、私の頭をポンポンと優しく撫でて、静かに眠った。
いつの間にか私も寝ていた。賢人君は、私の肩に頭を乗せて、女の子様に綺麗な顔で寝ている。騒がしかった周りも、静まり返っていて、私は今の状況でどうしたら良いのか分からず、ずっと下を向いていた。そして、少しの沈黙をおき、賢人君は目を覚ました。
「…ごめん」
顔を赤くして言ってきた賢人君を見て、私まで恥ずかしくなった。
「…大丈夫」
この会話を最後に、私たちは話すことも、お互いを見ることも出来なかった。
出会い
今日は、中学1年生のの林間学校。
私 佐藤 莉奈は、まだ薄暗い空を見上げ、親友の要町 紗希を私の家の前で待っていた。辺りには冷たい雨が降り、少し寒くなったので、私は沙希の家の方へ歩き始めた。
すると、大きく手を振り 私の方へ走ってくる紗希の姿が見えた。
「紗希っ、もう遅いよ〜」
私は立ち止まり、頬を膨らませて言った。
「っごめん!寝坊した」
紗希は、息を切らしながら 私に謝ってきた。
彼女とは、小学校4年生のときからの付き合いで、2本結びが印象に残る元気な感じの女の子。
「寝坊!?信じられないー」
紗希の頬を軽く抓り、私は笑って彼女の手をとった。そして、中学校まで2人で走った。
学校に着くと、すでにバスが2台 到着していて、私たちは1号車に乗った。私と紗希は、隣の席で、私が窓側の方に座った。
しばらくして、男子たちが入ってきたので 横を見ると、目が大きくて可愛い男の子が座っていた。私がその男の子を見ていると、紗希がその子と話し始めた。2人の話を聞いていると、その子は『鏡 賢人』と、いう名前で、賢人君の隣の席に座っている、大人しい感じの子と付き合っているらしい。そして、気が付けば私の胸は”ズキ,ズキッ”と、痛み始め、1粒の涙がこぼれ落ちた。
「おい、要町っ佐藤さん泣いてるっ」
賢人君は、心配しながら私を指差した。
「え!?莉奈、どうしたのっ大丈夫?」
すごくビックリした顔で沙希は私を見て、優しく抱きしめてくれた。私は自分でも、どうして泣いているのか 分からなかった。
その後は、時間があっという間に過ぎ、次の日の朝、帰りのバスに乗り込んだ。
バスの入り口を見ていると、賢人君が乗ってきて、私たちの席で止まった。
「要町〜俺 眠いんだけど、真奈美の隣の席だと恥ずかしいじゃん。だから、席 交換してくんね?」
賢人君は自分の顔の前で手を合わせて、紗希に頼んでいる。
『真奈美』とは、昨日 2人が話していた、賢人君の彼女のことだろう。私の胸は、また”ズキズキ”し始めた。
「あっ、良いよ〜莉奈も眠いって言ってるし。2人で寝てろ」
紗希は笑いながらそう言って、賢人君と席を交換した。
賢人君が席に座ると、私の膝を突付き『昨日は、どうした?』と、心配そうな顔をして聞いてきた。
「…賢人君にも、心配かけてごめんね」
私の声は震えていた。
「俺じゃ力になれないかもしれないけど、泣きたいときは、我慢しないで泣けよ」
賢人君は、私の頭をポンポンと優しく撫でて、静かに眠った。
いつの間にか私も寝ていた。賢人君は、私の肩に頭を乗せて、女の子様に綺麗な顔で寝ている。騒がしかった周りも、静まり返っていて、私は今の状況でどうしたら良いのか分からず、ずっと下を向いていた。そして、少しの沈黙をおき、賢人君は目を覚ました。
「…ごめん」
顔を赤くして言ってきた賢人君を見て、私まで恥ずかしくなった。
「…大丈夫」
この会話を最後に、私たちは話すことも、お互いを見ることも出来なかった。